海外医薬品について

このページでは海外医薬品は実際のところ服用しても問題ないのか、医師視点から詳しく解説していきます。
すでに服用している人はもちろん、これから服用を考えている人も、判断材料の1つになれば幸いです。
また海外医薬品との付き合い方についても触れていますので、もし使用するのであれば併せて参考にしてみてください。


ネオクリニック 宿田 医師
監修:宿田 孝弘(ネオクリニック院長)
ネオクリニックは北海道札幌市に本院を置く自由診療のクリニックです。 患者様の気持ちに医師全員が寄り添える、そんなクリニックをコンセプトに運営して参りますので、是非お気軽にご相談ください。

目次

  1. 海外医薬品の定義
  2. 「海外医薬品は危険」と言われる理由
  3. オンライン処方と海外通販の違い
  4. ネオクリニックが推奨する海外医薬品との付き合い方
  5. 海外医薬品について気になることがあったら
  6. 海外医薬品雑学
  7. まとめ

海外医薬品の定義

海外医薬品に対しては「便利」「コスパが良い」が良いといういうだけで、「危険」「効かない」といったケースを想定せずに購入してしまう人もいるでしょう。
付き合い方1つでメリットにもデメリットにもなる海外医薬品は、次のように定義されています。

"薬事法や関税法の規制を受ける医薬品"

お薬の法律が関わってくるのは国内の医薬品と違いはありませんが、海外から輸入する上で税関での適正な手続きも法律によって求められています。
また品質・有効性・安全性が日本の基準に達しているかの確認がされていないため、"未承認薬"と呼ばれることも。

日本にはない医薬品を使った治療ができるのは治療の可能性を広げてくれますが、それにはリスクがあることも十分に理解しておかなければなりません。
このページでは海外医薬品にまつわるデータを用いつつ、海外医薬品がどんなものか詳しく解説していきます。


「海外医薬品は危険」と言われる理由

「海外医薬品は危険」と言われていますが、その理由をご存じでしょうか。
ニセモノ、粗悪品、こうした話はよく耳にするかもしれませんが、医師目線でお伝えすると次のような理由があげられます。

<自己判断での使用>

お薬は年齢、健康状態、体質、こうしたことを総合的に考慮して初めて服用が可能です。
つまり医師の診察なしで服用すれば、思っていた効果が得られないどころか、場合によっては重い副作用を自ら招いてしまうだけに、自己判断は非常に危険と言えるでしょう。

<国内での使用データがない>

海外で製造販売されるお薬は、日本国内におけるデータが十分ではありません。
ゆえに、"何が起こるかわからない"というのが正直なところです。
また有効成分以外に含まれる添加剤についても、日本では認められていないものが含まれていることがあり、フィンペシア(薄毛治療薬)には厚生労働省が外用薬以外の医薬品には認めていない添加剤である「キノリンイエロー(黄色203号)」が含まれていました。
発がん性物質であるという噂が流れ、販売元のシプラ社も売り上げを懸念してか、現在は「Quinoline Yellow Free」として販売を行なっています。

後になってから何かトラブルが起きることも珍しくないだけに、服用していた海外医薬品が実は危険だったなんてことも決して珍しい話ではありません。

<処置が遅れる可能性>

もしニセモノや粗悪品を口にしてしまい重い副作用が起きた時には、何が含まれているかわからないため処置が遅れる可能性が考えられます。

友人から譲り受けたシアリス(勃起不全改善薬)を服用し、意識レベルの低下と低血糖を起こし救急搬送。
血中からは高濃度のグリベンクラミド(糖尿病のお薬)が検出されたため、偽造シアリスだったことがわかっています。

このケースでは命を落とすまでには至らなかったものの、海外医薬品の怖さは肝に命じておきましょう。

参照元:偽造シアリス®(タダラフィル)により重篤な低血糖症を来たした一例

くすりを逆から読めばリスクであり、使い方を誤ればどんなお薬も身体にとって毒になります。
個人で購入・使用するのではなく、効果とリスクの正しい判断ができる医師のもとで服用するようにしてください。

海外医薬品にまつわるデータ

「海外医薬品=危険」をイメージさせる、海外医薬品にまつわるデータをいくつかピックアップしたのでご紹介させていただきます。

<合同調査>

国内で承認されているED治療薬を販売する4社(ファイザー・バイエル・日本新薬・日本イーライリリー)が、インターネットで入手したED治療薬の鑑定調査によって、次のような結果が得られています。
日本およびタイの調査会社に発注をかけたところ、
国内発注分:約4割(35.6%、16/45)
タイ発注分:約5割(48.0%、12/25)
発注した約半分が偽造薬であったことがわかっています。

また調査した具体的な製品名までは明らかにされていませんが、
・有効成分の含有量の超過または不足
・全く有効成分が含まれていない
・他の成分あるいは不純物が複数含まれる
効果がないばかりか、健康被害のおそれもあるだけに、海外医薬品が危険とイメージされてしまうのも無理のないことでしょう。

参照元:偽造ED治療薬4社合同調査結果

<税関による医薬品の輸入差し止め>

財務省発表の2021年における知的財産権侵害物品の差止状況ですが、医薬品の点数は次のとおりです。

医薬品の輸入差止点数:21,502点 (※1件20点として計上)

これは前年の2020年と比較すると579.2%の増加となり、急激に増加している傾向にあります。
こうしたデータからも日本にも偽造医薬品が出回っていることが伺え、主に発展途上国を含むアジア圏からの輸出となっているのも危険をイメージさせるのかもしれません。

参照元:令和3年の税関における知的財産侵害物品の差止状況


オンライン処方と海外通販の違い

"お薬が郵送されてくる"という点においては、オンライン処方と海外通販に違いはありません。
ただ安全面については、雲泥の差があります。

オンライン処方 海外通販
販売する人 医師 仲介業者
安全性 ×
健康被害 今のところ報告なし あり
医薬品副作用被害救済制度 適用 適用されない

表からもわかるように、海外通販は何があっても一切責任を取ってくれません。
あくまでも日本と海外の架け橋になっているだけにすぎず、わかりやすく言えば代理店のような位置付けです。
また日常生活に支障が生じるほどの副作用が起きた際も、"適切な使用"ではないことから公的な給付金を受けることができません。

日本にない製品も数多くあるので飛びつきたくなるところですが、健康と引き換えになる可能性は忘れないようにしてください。


ネオクリニックが推奨する海外医薬品との付き合い方

ネオクリニックが推奨する海外医薬品との付き合い方は、

  • 誰から購入するか
  • 事前に診断を受ける
  • 医療機関であっても海外薬品の処方実績や知見があるところを選ぶ

海外では一般的に使用されているお薬もあるだけに、海外医薬品だから悪いとは言い切れません。
大切なのは医師の診断・処方であり、できることなら治療経験が豊富なところを選ぶと良いでしょう。

うまく付き合えれば治療の選択肢も広がるだけに、上記3つの条件を満たすクリニック選びをしてみてください。


<宿田先生からのワンポイントアドバイス>

ネオクリニックでも海外医薬品の取扱いがあり、主にヨーロッパの医療機関で実際に処方されているED治療薬のみを取り扱っています。

オンライン処方可能なED治療薬

いずれも各国で認められたもののみを処方しているので、よくある「安かろう悪かろう」の製品ではないので安心して服用いただけます。
またコスパに優れた製品もあるので、治療費が気になっている人もお気軽にご相談ください。


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海外医薬品について気になることがあったら

お薬は飲む人の心理状態に大きく左右され、プラスにもマイナスにも働きます。
これをプラシーボ効果と呼び、思い込みから副作用を起こすことも。
そのため海外医薬品に気になることがあれば、治療に影響してしまうおそれもあります。

疑問や不安といったマイナスなことを残さないためにも、海外医薬品について気になることは医師に相談してください。


海外医薬品雑学

当クリニックに多く寄せられる、海外医薬品についての質問をまとめてご紹介させていただきます。

海外から薬を個人輸入することは違法?

海外から薬を個人輸入することは、違法ではありません。
ただし購入制限があるため、その点には注意したいところです。

毒薬、劇薬または処方せん薬
⇨ 1ヶ月分以内
(※注射剤については輸入できません。)

外用剤(毒薬、劇薬または処方せん薬を除く)
⇨ 品目につき24個以内
(※ミノキシジル含有5%以下の育毛剤については、用法用量からみて2ヶ月以内)

その他の医薬品・医薬部外品
⇨ 2ヶ月分以内

医薬品の個人輸入代行業者とは?

医薬品の個人輸入代行業者は、医師ではありません。
あくまでも仲介をしている一般人にすぎず、お薬に対する知識を持っているわけではもなければ、なにか困ったことがあっても服薬指導することもできません。
そのため海外通販と呼ばれる方法で海外医薬品を購入するのはリスクがあり、健康上になにか起こっても自己責任になるので注意してください。


まとめ

海外薬品だから危険・悪いということは一概に言えず、日本でも水虫治療薬に睡眠薬を混入させるという問題なども発生しています。
このことからも、海外だから、日本だから、こうしたことは安全・品質の指標にはならなくなってきているのかもしれません。
それだけに服用者も健康を守るためには、お薬に対しての一定の知識が必要になってきていると言えるでしょう。

もし海外医薬品の使用を検討しているのであれば自己判断はせず、必ず医師に相談し判断してもらうようにしてください。